川崎仙台薪ストーブの会:風立ちぬと薪の会

今日は久し振りで月例会に出席の予定でしたが、秋雨前線による雨と時差ボケで沈殿にきめPCに向かっています。一昨日までカナダはバンクーバーで10日間ウィークリーマンションを借りて「滞在型」旅行と洒落てみました。その間2010年の冬季オリンピック会場となったウィスラーでランク「中」のホテルに泊まりました。「各部屋ストーブつき」とのことで期待したのですが、中には偽の薪とガス配管があるだけで、元栓が閉まっていました。昔カナディアンロッキーのバンフで泊ったコッテージのロフト付きの部屋ではちゃんと薪があって燃して楽しんだものですが。

ところで怠惰な私は映画館(今はシネコンと云うそうですね)に行くのも面倒くさく、ここ20年来映画館で見たのは「always 3丁目の夕日」だけで、評判の「風立ちぬ」も未だ、です。

その主人公の半身堀辰雄と川崎仙台薪ストーブの会との関係です。堀は軽井沢の別荘/療養生活の体験を基に主な作品を書いたようですが、所有した<軽井沢1412>という別荘はその後知人の画家深澤紅子夫妻が借り、そのお孫さんで薪の会の名誉会員である深澤光氏が「田舎のない私の夏休みはその信州の山荘で大半を過ごし」たと書いておられます(薪割り礼賛, 創森社, 2001)。

この建物は現在軽井沢高原文庫内に移築・保存され、公開されているそうです。煙突は排水管用の素焼きの土管を縦につないだものとのこと。

以下は無用のことながら。

私は軽井沢とは縁がない生まれ育ちで、昔々鉄道マニアの友人のお供をして廃線直前の草軽電鉄(草津−軽井沢)への乗り換えに歩いた何百mかが唯一の軽井沢体験です。

堀辰雄は複雑な生い立ちの下、隅田川の東に育ち、小梅小(当時は今の本所高校の場所にあったとのこと)、府立3中(現両国高校芥川龍之介の後輩)の卒業だそうです。小梅といえば私の生家からそう遠くはありません。浅草の対岸で東京スカイツリーの近くといえば分りやすいでしょう。今は見る影もありませんが当時は繁昌していた「向島の花街」そばでした。ちょっとマニアックには「ガロ」の滝田ゆう「寺島町奇譚」の寺島にも近く、お世辞にも高級住宅地とは云えないところです。そんなところで育ち、若くして結核を発症した文学青年が何故「三丁目の夕日」の茶川龍之介とは大違いの生活臭のない軽井沢での別荘生活を舞台に作品を書けたのか?茶川龍之介ではなく育てた古行淳之介のほうだったのかも。

高校生の頃その作品を読み、地名だけからは私と近い育ちであることを知って覚えた違和感が今に続いています。