川崎仙台薪ストーブの会(番外):美味しんぼと有効数字

晴 俄雪

前回言及した有効数字に関連する画がタイミングよく送られてきました。人気漫画美味しんぼ原発問題版の一部で、最初のひとコマで有効数字(正確にはそれを決める要因の一つ)とは何かがわかります。野外の測定では二桁めが動くのは普通のことです。漫画(「ビジュアル」と云えばカッコが良いのかな)の威力をつくづく感じます。

 厳密には著作権侵害になるのでしょうが、既にネットに広く出回っているのでここに載せても私の手が後ろに廻ることはないでしょう。ふたコマめもそのとおりで、風と共に数値がふらつくように感じることはよくありました。作者が実際に放射線測定の現場を取材したことがわかります。

 しかし台詞はいけません。2年近く経ってセシウムの殆どが土壌等に固定された今では放射性物質量がちょっとした風向きで急に増えたり減ったりはしません。自分が使う測定器のその環境でのノイズレベルを知っておくことは計測の基本です。

 前回も書きましたが、私は放射能に限らず発信元の科学リテラシーを数字の取扱い方で判断することにしています。ノイズや時定数、そして有効数字の概念が無い人が書く数字を私は信用しません。ここまで酷い人がいるという例に興味ある方は「TMM:No1727」でググってみて下さい。この人(団体?)は空間線量の測定値としてx.xxxと4桁の数字をあげてそれでは小さすぎて気に入らないといって測定器の微調整用トリマーを回したら大きくなったと得意気に書いています。「測定」のイロハのイも理解しない人が自分で作った数字を多分政治的な目的でネットで垂れ流している極端な例です。*後述

 薪の会とは関係ない、ちょっと硬い話で申し訳ありませんでしたが、似非科学情報が数字と云う一見科学の衣を着てネットを徘徊し、それを信じるひとが結構多いようなのが常日頃気になっているものですので。

*念の為にたった今「TMM:No1727」でグーグル検索してみたら「自分は機器について無知」-そうでしょう。そうでなければ4桁の数を書くわけはありません。-なので「やったのは友人」-他人のせいにするか?-等というお詫び?の文章が載っていました。要するに計測器にはさわったこともなく、「市内の100箇所以上の放射線量を定期的に測り」というのは皆嘘だったんですね。次に嘘をつく時は美味しんぼをよく勉強して数字は二桁にすることをお勧めします。