川崎仙台薪ストーブの会:放射能測定データの読み方について

晴 無風 絶好の仕事日和

富谷に営業所があるログハウスのBESSさんから5名が参加してくださいました。ただの見学かと思いきや、戦力となって働いて頂き、仕事が大いに捗りました。感謝!ということで午後の休憩時間にBESSのお一人に撮って頂いた集合写真を最初に。後ろの斜面の中腹にOK氏とYA氏が - 見えるわけないか。

 北側尾根上の玉切材を釣瓶式矢猿で下すはずでしたが、成功は2回だけ。
そこで2人がこういうことをして下し(ポーズをするからズームで撮れ、とうるさかった。安物カメラでズームすると手振れするんだってば!)、

こうなりました。

南側斜面や浅瀬を渉った奥に残っていた玉切材はBESSの若手の力で殆ど薪割機付近に集積できました。現状で律速段階は薪割だということがよく分ります。

他には薪棚の崩壊防止とか、

広場の整備、拡張。

それにしても心配なのは第一の橋の袂の支えです。いつぞやの豪雨でえぐられています。いつも朝通る時は今日こそ石で補強しようと思うのですが、仕事を始めると忘れてしまいます。この橋を渡る車で一番重いのが私のフォレスターです!

川崎町でおが屑の放射能を測定してもらった結果(右図)を見せてもらったのでコメントを。少し理屈っぽくなります。
川崎町では環境庁が貸出した米国製のCAPTUS-3000Aという簡易検出器(NaI(Tl),2”x2”,遮蔽30mm,0.5Lマリネリ容器)で学校給食の放射能を1検体20分で測定しています。おが屑も同一条件での測定です。検出限界計算値としてCs-137(17Bq/kg)-134(21Bq/kg), I-131 (25Bq/kg)とあります。いみじくも“計算値”と書いてあるように、検出限界値とは理想的な条件下だったらこうなるはず、という数字で実際には二掛け、三掛けと思わねばなりません。
 図はスペクトルと呼ばれるもので、横軸で示されるエネルギーのガンマ線が何個きたかが縦軸です。細かいぎざぎざはノイズ(雑音)と呼ばれる意味がないものです。如何にノイズの少ないスペクトルを得るか、真の信号とノイズや測定試料以外からの信号をどう見分けるかが腕と経験です。
スペクトルは矢印のセシウム3兄弟がはっきりわかります。放射性Csが総計124Bq/kgとありますが、この数字はこのS/N(シグナル/ノイズ) 比だと少なくとも2,3割の誤差があると思わなければなりません。一方半減期8日なので今では存在するはずがないヨウ素131が26Bq/kg「検出」されているのは計算検出限界以上なら意味があるわけではないことを如実に示しています。これは自然放射性物質Pb-214の影響とのプロの見立てでした。逆にどこにもある自然放射性物質K-40のシグナルがはっきりとスペクトルに現れているのに非検出なのはバックグラウンド測定の際に自然放射能が紛れ込んだためでしょう。バックグラウンドの取り方は精度に大きく影響します。エネルギーがずれてもいるようにも見えます。
 より正確な測定をするには検出器の較正を厳密に行う、測定時間を長くする、試料に工夫をする(濃度を高めるなど)等が必要ですがどれも流れ作業による多数検体の測定では難しいことです。

CAPTUS-3000Aについてのツゲッター(あるトピックについてのツイートを集めたもの)がありました。いくつもの誤検出の例が報告されていますが自治体での多試料の短時間簡易測定に多くを求めすぎているような気がします。「正確な測定のためには測定毎に検出器を較正しなくちゃ」というのがありました。まさに正論ですが、次から次へと検体が持ち込まれる各市町村の担当の方にとっては「そんな暇も機器もないからメーカーのマニュアル通りに機械的にやるほかはない」というところが現実ではないかと想像します。

 測定結果報告書にはハンコが6個押してありました。お役所仕事健在です。