番外の番外 東北関東大地震とローテク  天水尊

雪 真冬でも滅多にないような低温と吹雪 避難所で夜を過ごす方々にはなんともお気の毒なお天気です

今回の地震津波で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に御遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。また、羅災された人には最大限の支援が行われますよう望みます。子供手当をやめて被災者支援にまわせ、という説を読みましたが、全くその通りと思います。所得制限もない子供手当のようなバラマキは無駄遣いとしか思えません。真に「子供手当」を必要とする人には別の手立てを考えればよいでしょう。

地震により電気・水道・ガス・通信が途絶しました。当地(仙台市青葉区中山吉成、仙台大観音の裏)では地震3日めの早朝に通電し、4日め夕方に電話が復旧しましたが、ルーターが壊れていたためネットとの接続は5日めにずれこみました。今日(17日)を6日めと数えています。水はまだですが、お風呂に入れない以外はそれほど不便していません。人間垢では死なないものです。避難所で生活する方には申し訳ありませんが、これまで以下のようにかなり快適な生活を送ってきました。

30年前の宮城沖大地震で非常時に必要なものは1に水で2、3が無くて4が熱と食糧だと思い知りました。第一の水について余り不便していない理由のひとつは日頃50Lくらいの飲料水を備蓄していたことと翌日までは通水していたので風呂桶や薬缶その他を満杯にできたことですが、もうひとつ理由があります。「天水尊」です。これは雨樋からの水を何かに溜めておいて日常は庭の水やりに使うというものです。写真は15年ほど前にダイシンで購入したニッカのウイスキー樽を転用したもので容量約120Lあります。トイレなどの雑水には充分だし、いざとなれば濾過して煮沸すれば(多分煮沸しなくとも)飲用にできるでしょう。勿論常に満杯というわけにはいきませんし、実際地震当日は大分少なかった(つららで分かるように古くなったのでかなり漏水があります)ようですが、昨日来の雨と雪で満杯になりました。実は内心大地震の際には倒れて役に立たないだろうと踏んでいたのですが、少し動いただけというのは嬉しい誤算でした。

熱のうち暖房についてはいうまでもなく薪ストーブが働いてくれました。但しこれにも誤算がありました。ひとつは今回のように強い余震が頻繁にある場合、火を焚くのがちょっと怖いことです。本震に耐えたのだから余震は問題ない、はずではありますが。第二は停電の時には焚いてもサーキュレータが働かないので天井付近の空気ばかり暖かくなることです。しかしストーブの前にいれば暖かいことこの上なしです。炊事については我家の場合プロパンですから当面は問題ありません。

食糧についてはお米の有難さを再認識しました。たまたま年初にお米を15kg貰い、まだ半分以上残っていました。水と熱さえあればこれで当分食べていけます。漬物とかなにかしらあるものですし、水が乏しい時にはピラフとかリゾットとかにすれば研ぐ必要もありません。そして長期間の保存に耐えます。パンではそうはいきません。

光はローソクで足ります。もう蛍の光で勉強しなければならない受験生ではありませんから。今回の停電の効用は早寝早起きになったことと節電の意識が高まったことでしょうか。いつまで続くか自信はありませんが。

天水尊、薪ストーブ、お米、ローソクの共通点は皆ローテクということです。お米はローテクと云っては申し訳ありませんが所謂ハイテクでないという意味です。災害の時に役にたつのはローテクです。オール電化住宅に住んでいる人は停電の間どうやって暮らしていたのでしょうか。繰返しになりますが一番必要なのは水です。皆様にお風呂の水を捨てないこと、18Lのポリ容器に水道水をいれて時々入れ替えておくことをお奨めします。

でも災害時に有難いハイテクもあります。それは情報です。断水中の今も水についてあまり心配していないのは電話やメールが通じるようになって復旧状況について知ることができ、備蓄の飲料水をどのくらい持たせばよいか見当がつくからです。世の中の独裁国家すべてが情報を管理して独占するのは情報を持った国民が合理的に行動するのを防ぐためだということを身をもって感じました。すると1は水、2が情報で3,4が無くて5が熱と食糧でしょうか。